連載 看護ボヘミアン—出会いと発見のつれづれ・6
真冬の寒い“便所”
林 千冬
1
1東京大学大学院医学系研究科博士課程
pp.276-277
発行日 1994年3月1日
Published Date 1994/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661904499
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脚が棒になっても
「生活保護専門病院」なんてのは,もちろん私の勝手なネーミング.私が勤めた数か所の病院に共通する点は,ベッド数にして100床前後,内科・外科・整形外科あたりを標榜する医療法人や個人経営の民間病院.つまり,見かけの上ではごくごく“フツーの病院”.だから時には“フツーの患者”,つまり生活保護ではなく一般の医療保険適用の患者さんが入院してくることもあった.
私の准看護婦時代最後のアルバイト先では,3フロアに分かれた病室のうち1フロアだけが医療保険患者専用,あとは生活保護患者専用フロアという,見事な(?)区分が貫徹されていた.3フロア約90床にナースステーションが1つ.夜勤「看護婦」1名が外来も兼務し,夕刻から翌朝まで1階から4階までを駆け回り,それでも給与は一晩一万円,という素晴らしい労働条件の病院でもあった。
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