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保健婦からみた保健所長
藤原 田鶴子
pp.46
発行日 1952年6月10日
Published Date 1952/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200301
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「保健婦からみた保健所長」についてという御注文ですが,惠まれた環境にいる私は,平素あまり考えてみない問題でした。他所ではいろいろ問題がある樣にききますが,私は所長というより「お父ちやん」と呼びたい樣なそして人間的魅力のある所長の下で楽しく働いてます。
我儘娘ぶりを発揮して不平を言いに勢ひ込んで所長室へとびとんでも「うんうん」といつて聞いていただいているうちに,はじめの勢はどこへやら,恰度幼い頃うれしい事悲しい事又不満やらを父に訴えて,解決はつけてもらえなくても話しただけで安心していた樣なあんな気持にさせられてしまいます。御忙しい所長をわづらはせてはいけないと思いながらも,つい仕事以外のよろず相談まで持込んでしまいます。時には他の係から文句が出かねない程の親心で導いて下さいますが,それは私達が手をはなしたらまだ一人歩きが出来ないからですけれど。いつまでも甘えていないで早く大地へしつかり足をつけて歩きたいと,努力はしてますがなかなか満足した結果が得られなく,いらいらしてしまいます。
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