講座
消化器系傳染病の疫學
宮入 正人
pp.22-28
発行日 1951年8月10日
Published Date 1951/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200123
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疫學とは病氣の「はやり方」を研究する學問である。傳染病の對象は,患者個人であるが,疫學の對象は人間の集團である。すなわち人類社會にどのように病氣がひろがつているか,そのひろがりが毎年,毎月,毎日,どの樣に變つて行くかを眺め,何故その樣にあるか「はり方」の「からくり」を理論的に説明し,更にある條件の下で人工的に流行をおこして,頭で考えた理論を實驗的に確證してゆく。流行の「からくり」がはつきりしてくれば,流行を未然に防ぐにはどうしたらよいかと云う合理的な對策がたてられる。これが疫學の研究をしてゆく順序であり,又目的である。まだ原因や,うつり方がよくわがつていない病氣の「はやり方」をいろいろな病氣の流行状態と比較する事による異同を見出しその原因,うつり方等を推測する事も出來るわけである。
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