特集 結核医療と病院
結核医療事業の最近の動向
山形 操六
1
1厚生省公衆衛生局結核予防課
pp.20-24
発行日 1966年3月1日
Published Date 1966/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202800
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はじめに
結核が猛威をふるい,多くの人命を失わせ,経済的にも社会的にもはかり知れない損害を国民に与えてきたことは,今さら多言を必要としないであろう。しかし,国民全体の結核との戦いが実って,現在なおいくつかの間題をかかえながらも,近年ようやく成果の曙光がみられ始めたことは誠によろこばしいことである。ここに,最近の動向について,医療事業の面から考察することも,今後の結核根絶への道を歩むために有意義であると思う。ただし,結核の医療に関しては,医学の社会的な適用実践という意味から臨床医学に焦点を合わせた論議だけでは十分でない。疾病対策を推進するに当たっては,予防と治療とが離ればなれになっていたのでは総合力を発揮し得ないものである。健康増進,疾病予防,適正医療およびリハビリテーションの一連の対策が国民の1人々々に浸透してこそはじめて対策の効果が期待できるのではなかろうか。結核対策が一応成功をおさめたのも,このような総合的対策が官民一体の努力によってもたらされたことを忘れてはならないのである。
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