特集 医療社会事業
結核療養所における医療社会事業
鈴木 幹二
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1愛知県国立療養所大府荘
pp.44-47
発行日 1964年4月1日
Published Date 1964/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202325
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ここ1,2年来,結核療養所の医療社会事業は,ひとつの曲り角にさしかかってきている,というのが,私の実感である。発足以来,10数年を経過した私たちの仕事が,うまくすれば,ここで一段の飛躍をする好機でもあるし,へたをすると,下降線をたどる転回点にもなりかねない,そういう時期が来ていると思う。
地方の一国立療養所に勤務する私の狭い視野で,ひろく療養所のこととしてものをいうのはおこがましいが,国立療養所については,私たちも,よい資料を持っている。昭和35年から36年にかけて,当時の国立東京療養所山本武夫氏を中心として,全国の国立療養所ケースワーカーによる共同研究が行なわれた。これは,深津要博士を班長とする国立療養所結核精神衛生研究班の一分科としてなされたもので,ケースワーカーの実態調査からはじまり,取扱っているケースの内容,ケースワークの方法,面接態度の調査から,さらに,ワーカー自身のパーソナリティ・テストにおよぶ,広汎な調査であった。その結果は,5冊の報告書(通算約200頁)にまとめられている。まずこの調査結果をよりどころにしたい。
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