特集 精神障害者への初期支援・緊急対応
精神障害者の地域生活支援システムと緊急対応システム
小林 啓子
1
,
宮本 ふみ
1
1東京都多摩川保健所
pp.910-915
発行日 2003年10月1日
Published Date 2003/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100171
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はじめに
平成14年度からの精神保健福祉業務一部市町村移譲により,精神障害者(およびその家族)の地域生活に関する相談対応システムは,より生活圏に近いところで整備されるようになった。しかし,その一方で,従来医療確保(危機介入)から社会復帰まで一貫して精神障害者とその家族に関与していた保健所の援助のあり方は,平成13年10月からの移送制度の導入など機能分化の陰で,いま,拡散しようとしている。
精神障害者の暮らしを支えるシステムは,本来,時宜を得た医療確保によってその安全性を保障できる。また,時宜を得た医療確保は,精神障害者の暮らしを日常的に支える人びとの関与によって,より適切な形で実施することができる。精神障害者の地域生活を支える仕組みと医療を確保する仕組みは,決して乖離して機能するものではない。
しかし,実際のところ平成14年度以降,それぞれの仕組みはどのように繋がりあっているのであろうか。本稿では,東京都の状況を例に挙げながら,新たな精神保健福祉活動体制上の課題,および相談の初期対応者として登場する市町村保健師への期待について述べる。
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