連載 ニュースウォーク・64
分煙,カルテと「法の力」
白井 正夫
1
1元朝日新聞編集委員
pp.678-679
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100133
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5月連休の1日,湘南海岸へ出かけた。江ノ島へ行くモノレール駅でまず目に入ったのが「5月6日から当駅ホームでは禁煙」という大きな張り紙。そういえばGW前に,分煙の徹底をはかる「健康増進法スタート」と「カルテ開示新法見送り」という法律の話題がニュースになっていた。小さなモノレールに揺られながら,2つの出来事を重ね合わせて「法律の効用」を考えていた。
昨年7月に成立した健康増進法がいよいよ5月1日から施行になった。「いよいよ」と書くのは,成人男性の喫煙率5割という「たばこ大国」日本で,喫煙を楽しむ人と,受動喫煙を避けたい人との棲み分けをきちんとする喫煙規制が初めて法制定されたからだ。その規定は「大勢の人が集まる施設の管理者は,受動喫煙を防止するための必要措置を講ずるよう努めねばならない」(第25条)である。罰則のない努力義務規定だが,効果的な分煙をできない施設は「法律違反施設」となるだけに,法制定の意味は大きい。
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