特集 新型たばこ—健康影響と規制のあり方
新型たばこの禁煙治療への影響
中村 正和
1
1公益社団法人地域医療振興協会ヘルスプロモーション研究センター
pp.596-600
発行日 2019年8月15日
Published Date 2019/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401209204
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はじめに
2006年の禁煙治療に対する保険適用以降,全国のニコチン依存症管理料の登録医療機関数は年々増加し,2019年4月現在,16,800余りの施設が禁煙外来を開設している.保険による禁煙治療の効果は,これまで3回行われた中央社会保険医療協議会(中医協)の結果検証においても国際的にみて良好な成績を収めており,その費用効果性も,他の予防プログラムと比較して極めて高いことが明らかにされている1).しかし,わが国では禁煙試行者における禁煙治療の利用が欧米先進国や韓国に比べて低い状況にあり,多くの人が自力で禁煙しているのが現状である1).
上記のような状況において,最近,有害成分の低減をうたった加熱式たばこが流行し,禁煙治療への影響が懸念されている.本稿では,わが国で流行が顕著な加熱式たばこを取り上げ,その流行が禁煙治療にどのような影響を及ぼすのかについて,製品特性と使用者の心理など現在得られているエビデンスを基に考察する.また,加熱式たばこ使用者への禁煙支援のあり方や,今後,必要な調査研究についても述べる.
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