特集 コミュニケーション・スキルを磨こう! 「社会心理」の窓から地域をのぞく
「地域づくり」のなかのコミュニケーション
浦 光博
1
1広島大学総合科学部
pp.118-124
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662100002
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ここでは,「現代社会における地域での支援活動とはいかにあるべきか」について,社会心理学,とりわけ,人と人とのサポート(支援)のあり方をめぐる研究視点から考えてゆくことにしたい。
まず,本稿の視点,そして結論を先に述べておくことにしよう。本稿での視点は,社会の高齢化が進むなかでの支え合いのあり方を考えようというものである。そして結論は,「高齢者を支えすぎない地域社会を作ることが必要だ」ということになる。「えっ?」と思われるかもしれない。「高齢者は支えられるべき存在ではないのか」という声が聞こえてきそうだ。そのとおりなのかもしれない。しかし,その思いの強さがときとして高齢者を苦しめる。高齢者たちはもっと社会に役立ちたいと願っている。頼られる存在でありたいと願っているのである。ならば,その希望をかなえようとすることが何よりも重要ではないか。そう,それこそが重要なのである。高齢者たち自身にとって,そして地域づくりにとっても。
では,論を進めよう。まずは,全体像の理解に役立つと思われる具体例を1つ挙げることから始めることにしたい。
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