私たちの保健所・20 兵庫・赤穗保健所
地域の歴史と開発展望のなかで
鳥谷 虎一郎
pp.441
発行日 1970年7月15日
Published Date 1970/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204110
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管内状況 管内を国道2本国鉄2本が通り,新幹線も工事中,一市一町.赤穂市は兵庫県の西南端瀬戸内海に臨む人口47,000の静かな地方都市.古くから義士と塩の町として知られ,戦後は観光も一枚加わって来訪者も多く神戸から2時間の行程.いわずと知れた元禄の義挙四十七士を生んだ浅野家の城どころ.
塩田の変遷はまた著しい.昔からの入浜式は戦後流下式にかわり,最近はイオン交換樹脂膜法に切りかわり,労力は極度にはぶけ,面積は2千分の1で事足りることになった.700ヘクタールに及ぶ塩田跡の臨海地帯のうち約300haは恰好の工場立地となり,今や工業都市に生れかわらんとしつつある.それにつけても公害は今後重要な課題である.市当局も慎重に数年前から予測調査を行ない,また近くは240万キロという尨大な発電所の進出申出について学術委員会に諮問しており,小生も委員の1人として公衆衛生の立場から見守っている.上郡町は山陽本線本県の西端駅.人口17,000.県下で唯ひとつ残ったまだきれいな川,千種川の中流に位し,鮎のシーズンには腰までつかった鮎掛け姿が散見する.やや疎に傾く.
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