特集 癌治療に伴う副作用との闘い
放射線治療における口内炎患者の疼痛緩和にハチミツを使用して
千葉 美幸
1
,
井戸畑 久美子
1
,
小林 長子
1
,
佐藤 ヨシ
1
,
村松 洋子
2
1岩手医科大学付属病院耳鼻科病棟
2岩手医科大学付属病院
pp.171-176
発行日 1985年2月1日
Published Date 1985/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661923026
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
耳鼻咽喉科領域において,放射線治療中にみられる局所反応として代表的なものに放射線性口内炎が挙げられる.放射線性口内炎の程度や治療成績の良否は,目標の放射線治療が行なえるか否かにかかり,重要なものであり,また,口内炎の疼痛のため,患者は身体的にも精神的にも大きな苦痛を訴えることが多い.
そのため,私たちは口内炎による苦痛を軽減させたいと考え,酸性物質で細菌の増殖を防止しグルコースオキシターゼにより過酸化水素の生成が傷口の保護をすると言われるハチミツに着眼した.また松田らのHoney theraphyにより外陰癌患者の肉芽組織の増生がみられたという報告1)を基に,ハチミツの使用,抗生剤の吸入,抗炎症作用,肉芽新生作用のある含嗽剤を併用すれば,口内炎による苦痛を軽減させることができるのではないかと考え,3000rad以上の照射予定の患者16名に実施した.
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.