ゲシュタルト療法

　‘ゲシュタルト’とは‘全体の統合’という意味で，‘表があれば裏がある’‘光があれば影がある’というように，物事を一面ではなく全体で捕えようとすることである．

　創始者のフレデリック＝S＝パールズ（1886-1970年）はドイツで精神分析医として学び，当時のドイツの学術的サークルで盛んだった実存主義哲学やゲシュタルト心理学に大きな刺激を受けた．ナチズムのユダヤ人排斥運動から逃れて1935年に南アフリカへ逃れたパールズは，南アフリカ精神分析協会を設立したが，1942年には正統派精神分析理論から離れて，ゲシュタルト心理学を取り入れた新しい理論を確立し，1949年には，“ゲシュタルト療法”を出版している．