LIFE SCIENCE 生命科学のトピックス・6
組み換えDNA技術と安全性論議
本庶 佑
1
1大阪大学医学部
pp.1090-1091
発行日 1982年10月1日
Published Date 1982/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922858
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人々が新しい革命的な技術を理解できるように科学者は正しい知識を提供することが必要である
人類の歴史を振り返ってみると,新しい革命的な技術や知識の導入に対して,一般大衆は極めて保守的であったことが明らかである.一般に,革命的な技術は大衆にとってなじみが薄く,その及ぼす影響が計り知れないために,不安とおののきとが拒絶反応を示す例が多い.
たとえば,中世において地動説を唱えた天文学者,ガリレオ,コペルニクス,ケプラーなどはすべてこのような被害を受けている.また,ジェンナーの種痘やパツッールのワクチンもなかなか人々に受け入れられなかった.ごく卑近な例では,鉄道を敷くに際して,多くの農民が牛馬が驚くという理由で反対したということが,方々の地方で言い伝えられている.このような事例はあまりにも多く,枚挙にいとまがない.
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