特集 入院患者の心理を探る—病みと不安
‘不安’の諸相をめぐって
見藤 隆子
1
1千葉大学看護学部
pp.867-871
発行日 1982年8月1日
Published Date 1982/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922834
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不安の性質
電話で原稿をお引き受けした途端,漠然とした不安を感じている自分に気づいた.何が不安なのだろうか.まともな原稿が書けるだろうか,書けないかもしれない,という思いから来る不安である.このように不安は,いつでもだれにでもやって来る極めて人間的な事実である.
人間的なという意味の1つは,不安は未来を予想するという,人間の知の働きから来るものであって,未来を予想しない人間以外の動物には,不安はないように思われるということである.未来を予想する時には,痛みが強いのではないかなど,具体的結果をイメージして予想する場合と,検査の結果何が起こるか分からない,という予想の立たぬ予想とがある.
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