創刊50周年記念特集 今日の耳鼻咽喉科/治療のコツと全身管理
耳—症候と疾患
外耳炎の諸相
海野 徳二
1
1旭川医科大学耳鼻咽喉科
pp.736
発行日 1978年10月20日
Published Date 1978/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492208714
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外耳炎という名称は種々の状態を含めて用いている。現在使用されている教科書を見渡しても統一されていず,ある一線を劃して真菌症や湿疹と区別することは難しい。
外耳炎でもつともはつきりしているのは急性限局性外耳炎(耳癤)である。耳垢をとつたあととか,水泳後などに耳痛を訴えて来院する。その痛みは耳に触れた時や咀嚼運動時に増強する。診察上困難を来たすことは少ないが,耳痛を訴え始めたごく初期には外耳道の所見が乏しく,また耳鏡を挿入してから観察する習慣がついていると病変部を通り過ぎてしまつたりして,分らないことがある。外耳道や鼓膜に所見のない耳痛については,顎関節症,歯疾患,扁桃疾患などからの痛みのこともあるから,これらの部位の病変の有無を確かめておく。
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