LIFE SCIENCE 生命科学のトピックス・5
個人の尊厳と遺伝子の多型性
本庶 佑
1
1大阪大学医学部
pp.850-851
発行日 1982年8月1日
Published Date 1982/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922829
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自然科学の急速な進歩のために人文科学と自然科学が専門分化し哲学が魅力を失ってしまった
哲学が,かつてほどの魅力あるいは影響力を失ってから久しいように思われる.これは,近年の自然科学の進歩に比べて,哲学の進歩が遅れているからではないか,という気がする.古代においては,自然科学者はすなわち哲学者であり,あるいは近世においても哲学者は自然科学を体系的に把握していた人が多く,自然科学の成果を直ちに新しい世界観として取り入れることができた.
ところが,今世紀後半の自然科学のあまりにも急速な進歩により,人文科学と自然科学との専門的分化が進み,自然科学の新しい成果が必ずしも十分に人文科学に反映されていないのが大きな原因ではあるまいか.
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