特集2 透析患者の食事管理指導
自己管理が困難な透析患者への援助
佐藤 友美
1
1横須賀共済病院人工腎臓部
pp.902-906
発行日 1981年8月1日
Published Date 1981/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922787
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はじめに
透析患者の食事は,水分,塩分,たん白質などの制限が厳しく,患者にとっては,それぞれの人生経験の中で出来上がった日常的食習慣のために,医療上理想とされる透析食に合致させることが困難で,精神的な負担となりやすい,なかでも水分制限は,患者にとって最もつらい禁止事項である.患者は‘飲みたい’という欲求と‘飲んではいけない’という禁欲的意識との間で常に葛藤しており,フラストレーションの状態に陥りやすい.
透析療法は生涯を通じた永続的なものであり,患者の心的葛藤が長期間続けば,身体の管理にも種々の影響を及ぼし,医療上の困難を生じさせる.透析導入後より,医療スタッフから,食事管理,生活管理全般にわたる具体的指導が行われるうちに,大部分の患者は,透析療法を自らが生きる手段であるとして受容し,そのための生活に順応して,心身ともに自立への過程をたどることができるようになる.
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