特別論稿
入院中の子どもの生活と看護—第29回医学書院看護学セミナー講演から
吉武 香代子
1
1千葉大学看護学部
pp.157-164
発行日 1981年2月1日
Published Date 1981/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922710
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子どもは生活するために入院しているのではない
ご紹介いただきました吉武でございます.本日,入院中の子どもの生活を考えるにあたり,当たり前のことをひとつはじめに申し上げておきたいと思います.それは,子どもは‘病院で生活するために入院しているのではない’ということです.入院しなければならない病気があるからこそ入院しているということ.この原点をもう一度見つめ直して,その限界の中でFどもの生活を楽しくすることを考えたいと思います.
さて,私たち看護婦の本当の願いは,子どもたちがみんな健康で,幸せであることです.だからこそ子どもを病気から守り,健康を増進させるため努力しています.でもやっぱり病気になってしまう子どもたちがいます.どんなに努力しても未熟児は生まれます.昔は助からなかった新生児の手術が可能になりましたが,それはまたそれだけ私たちの対象になる患者がふえたことでもあります.また,白血病は予後不良であっても生命は延長されています.私たちが入院中の子どもとして対象にする数は決して減ってはいません.
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