特別論稿
バイタルサイン—その理解とみかた 第25回医学書院看護学セミナー講演から
阿部 正和
1
1東京慈恵会医科大学
pp.1167-1179
発行日 1979年11月1日
Published Date 1979/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661918813
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
バイタルサインとは
バイタルサイン──たいへん響きのいい,魅力的な言葉です.医科大学の学生諸君が最初に臨床医学の講義を受ける時,また,看護学生の皆さんが看護学の講義をはじめて聞くとき,最も耳新しく感じる言葉,それがバイタルサインであります.若い皆さん方にはこの言葉を聞いて,これから新しい学問を習うんだという気持ちをかき立ててくれるような魅力的な言葉だと思います.一体バイタルサインとはどういう意味でしょうか.そのことから話を始めましょう.
いまから30年ほど前,私がアメリカから入ってくる医学雑誌を読んでおりますと,バイタルサインという言葉が時折出てくるのに気がつきました.一体バイタルサインって何だろうか,と考えながら読んでいますと,何のことはない,それは体温であり,脈拍であり,呼吸であり,時には血圧も意味していることがわかったのです.日本でも,脈とか,体温,呼吸,血圧という言葉は昔から使っていましたが,それらをひとまとめにして1つの言葉,つまりバイタルサインという言葉で表現することはしていませんでした.それをバイタルサインにとりまとめたのは,いかにもアメリカ人らしい,いいセンスであったと思います.
Copyright © 1979, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.