連載 高齢化社会の福祉と医療を考える・28
老いと夫婦[1]
木下 康仁
1,2
1立教大学社会学部
2日本老人福祉財団
pp.1230-1233
発行日 1988年12月1日
Published Date 1988/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922160
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老いと夫婦をめぐる奇妙な状況
年老いた人々の夫婦関係については,私たちはまだ何も理解してないに等しいのではないだろうか.無論この点に関して研究が皆無というわけではないのだが,私のみたところ,老いと夫婦の本質に迫るところまで射程が届いていない.
一方,家族の一員としてであれ,ケアの提供者という立場であれ,老いた夫婦に直接接する機会を持つ人々はこの本質について経験的に‘何か’を感じてはいるのだが,それが何であるのか言葉で明確に表現できないでいる.人間にとっての夫婦という関係の持つ大きな意味を考えると,こうした状況は奇妙にすら思われる.
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