特集 ターミナルケア—地域での取り組みを中心に
地域の歴史や文化とともにあるターミナルケアを目指して
細井 恵美子
1
1京都南病院看護部
pp.1171-1177
発行日 1988年12月1日
Published Date 1988/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922149
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はじめに
脳死,病名告知,ターミナルケアというような言葉が,巷間のどんな小さな書店に入っても目につくようになった.このような現象は,“死”に対する,人々の関心の深さを示すバロメータともいえる.
同様に医療や看護の中においても,これらの問題はいとまなく論議され,セミナーや研究会,考える会等々があちこちで開かれるようになった.私自身もそうした場所に出て勉強したり,ある時は,お話をさせて頂いたりして,参加者の人たちとの交流を重ねているが,こういう問題に積極的に取り組む人や参加する人たちの多くは,感性が豊かで,物事に対する読みの深い人たちだということを,その都度考えさせられてきた.彼女たちは,答えを求めながらそれを焦らず,より多くの考え方や経験談に耳を傾け,自らの体験の上に,それらを重ねていこうとし,決して結論を急ごうとしない.そして日常の看護の中では,一人ひとりの“死”や“苦悩”を,丁寧に看とっていくことに重きをおいているように思える.
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