特集 地域におけるターミナルケア
南島におけるターミナルケア
近藤 功行
1,2
Noriyuki KONDO
1,2
1山口大学教養部
2日本学術振興会
pp.634-638
発行日 1993年9月15日
Published Date 1993/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900880
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
筆者は与論島を中心とした奄美群島ならびに沖縄本島,沖縄離島域で終(つい)の場所に関する調査研究を継続中である.このテーマを進めていく中で,1992年には特別養護老人ホームも対象として沖縄本島内の同施設を全施設訪問し,高齢女性に見られる一過性の俳徊行動などの裏付けを行う一方1),終の場所などの調査を行ってきた2),また,奄美群島内の施設の訪問も今年1月までにすべて終えた.老人ホームの中でも,とりわけ特別養護老人ホームでは終の場面に接する機会が多いことが施設の訪問を通して明らかになった3).このため,施設職員も息を引き取る場所としての対応が必要となってきているなど,施設での動向も知ることができた.入所者の死を避けて通ることのできない特別養護老人ホームの現状については,その現状を押さえておく必要があると思い,南島(南西諸島の呼称)全域に調査の手を広げた.これまでの調査から死に際しての過程,そして死亡場所を追って行くと,(1)施設内入所から病院への転院による死亡,(2)施設内入所から(終末を自宅で迎えるために)自宅に戻っての死亡,(3)施設内死亡(居室→静養室での死亡),など各施設の違いも明らかになってきた.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.