連載 在宅看護への道・7
家族指導とは
村松 静子
1
,
守田 美奈子
1
,
松沼 瑠美子
1
,
山田 京子
1
,
仲野 佳代子
1
1在宅看護研究センター
pp.946-949
発行日 1987年10月1日
Published Date 1987/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921818
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人間的触れ合いに魅せられて
退院後,家族は慣れない介護に必死に取り組んだ.病院で基本的なことを学んできたとはいっても,まだ注射器など,器具の取り扱い1つにも慣れていない.夜中に咳や喘鳴に戸惑ったりしたことも何度かある.光子さんの病状を考えると,これは当然なことであった.安定しているとは言っても,光子さんの看護は,看護婦にとっても大変だと感じる部分が多い.家族が自信を持って介護に取り組めるようになるまで,一体どれ位の時間が必要なのか,正直に言って,その時点では予測できなかった.とにかく,家族が少しでも不安なく,毎日の介護に取り組めるようになることが,私たちの役目であった.
退院後,半年間位は1-2日毎に看護婦が交代で訪問を続けている.毎日約2時間位かけて,その日の予定となっている清拭,リハビリ,管の交換などを家族と共に行なった.そして前日から今日にかけての光子さんの様子を聞き,変わったことはないか確かめ,家族の悩みに答える.夜勤明けで体は疲れていても,光子さんの表情がちょっとでも変化すると,その喜びで疲れはどこかへふっ飛んでいた.光子さんの看護を行ないながら,家族と喜びや不安を共有できること,その人間的触れ合いに魅せられて,私たちは交代で毎日加藤さん宅を訪問したのかもしれない.
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