連載 高齢化社会の福祉と医療を考える・14
老人の「問題行動」「わがまま」を考える[2]
木下 康仁
1
1立教大学社会学部
pp.1010-1013
発行日 1987年10月1日
Published Date 1987/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921836
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前回は老人ケアの現場でよく使われている「問題行動」と「わがまま」という2つの言葉を取り上げ,これらが職員と老人たちの関係にどのような影響を及ぼしているか,またどのような状況において用いられているかを論じた.次いで,社会学の中の社会的相互作用論の視点から場の定義のもつ重要性を指摘し,合わせて行為規範の分析モデルを提示した.
行為規範には,(1)しなくてはならないこと(mustdo),(2)すべきこと(should do),(3)してもしなくてもどちらでもよいこと(may do),(4)すべきではないこと(should not do),それに(5)してはならないこと(must not do)の5段階があると述べた.行為規範は場の定義と密接な関係にあるのだが,その特性は規範全体の明晰性と5段階の中でのレベルの片寄り傾向に見い出せる.明晰性については前回既に論じたので,今回は後者から考えてみよう.
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