グラフ 西村かおるの訪問看護留学記—ブライトンからのフォトレポート
英国地域医療の印象
西村 かおる
pp.848-853
発行日 1987年9月1日
Published Date 1987/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921798
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英国の医療は何と言っても,ナショナルヘルスサービスとプライマリケアチームを抜きにして語ることはできない.国全体で統一された制度だから日本のように保険の問題,医師や病院数の偏り,また患者が医療機関の梯子をするというような問題がない.日本から比べるとスッキリとした感じを受ける.
地域医療の代名詞ともいえるプライマリー・ヘルスケアチームは様々な職種によって成り立っているが職種間での役割が非常にはっきりと割り切られていて、混乱はないように思う.看護職にしても保健婦,助産婦,訪問看護婦,精神科看護婦,ハンディキャップなどに分かれ,さらに訪問看護婦にしても糖尿病,ターミナルケア,失禁,ストーマなどの専門の看護婦がいる.こうなると日本ではお互いの役割がはっきりとせず,問題が生じそうだか,こちらでは多少のオーバーラップはサービスがもれるよりもはるかに良いという姿勢を持っている印象を受ける.だから,メンバーは何か自分の役割はないか,チェックのため気軽に患者を訪問する.決まった範囲を車で回るせいもあるだろうが,こちらの地域のナースは腰が軽く,日本に比べて密度の濃い看護をしている気がする.
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