特別シンポジウム どうする日本の医療
英国の医療改革から学ぶ
近藤 克則
1
1日本福祉大学社会福祉学部
pp.977
発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408100173
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先進7カ国の国内総生産(GDP)に占める医療費の割合を見ると,日本は平均(9%)を下回って,イギリスと最下位を争っています.しかし,いまから3年以内に日本の最下位が確定するでしょう.現在イギリスは,医療費を1.5倍に拡大する改革に取り組んでいるからです.医療費抑制による弊害の大きさに気づいて,医療費拡大に転じたイギリスの経験を知ることは,日本が医療費を抑える政策を続ければ,どのような事態が起きてくるかを考える一助になります.
1979年に政権についたサッチャー首相の依頼で医療改革の青写真を描いたのがグリフィス(Griffiths)という,スーパーマーケットチェーンの会長でした.彼は「内部市場」と呼ばれる競争原理を持ち込む方向を打ち出しました.この論議は,いまの日本における株式会社参入,混合診療導入の議論に似ています.
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