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はじめに
近年我が国では,めまぐるしい勢いで精神障害者を取り巻く関連法規の改正がなされている。医療法改正もそのような流れの1つであり,精神病床の新たな機能区分設定についての議論が活発化している。そこでは,精神障害者の様々な病態像に応じたきめ細かな入院治療を提供できるシステムの構築が求められているが,病床区分の基準を,急性期や慢性期といった時間軸にするのか,重症度にするのか,あるいはこれらを総合的にとらえた区分とするのかが検討されているところである。
一方,欧米各国では,病床削減と連動して地域精神保健システムが構築されてきた。適切な圏域ごとに地域責任制を持った精神保健チームを配置するセクター化(sectorization),障害者のニーズに合わせてケアを統合・調整するケースマネージメント(case management;CM)に加え,先進地域では,機能分化したいくつかのコミュニティ・チームを統合することで,セクターにおける包括的な地域精神保健システムを構築している5,7,9,15,17)。
そのような観点からいえば,英国北バーミンガム地域は,国際的にみて最も包括的な精神保健システムを構築している地域の1つであるが,我が国では未だ詳細な紹介はなされていない。筆者は,1998年11月に北バーミンガムのスモールヒース地区を訪問し,いわゆる北バーミンガム地域精神保健モデルについて研修を受ける機会を得た。本稿では,英国における地域精神保健の最近の動向を紹介した上で,コミュニティ・チームや関連機関の機能分化に焦点を当てながら,北バーミンガムモデルの概要について説明を加え,病床機能分化を模索している現状にある我が国が,これらから学ぶべきことを考察したい。
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