今月の主題 意識障害へのアプローチ
脳占拠性病変と脳ヘルニア
脳ヘルニアの診断
厚東 篤生
1
1慶應義塾大学医学部・神経内科
pp.1862-1865
発行日 1986年11月10日
Published Date 1986/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220600
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脳占拠性病変とその周辺の浮腫により,あるいは脳循環障害によって脳浮腫が発生したとき局所的に頭蓋内圧が上昇する.その際,大脳鎌,小脳テントなどの硬膜の間隙や大後頭孔を越えて脳の一部が比較的抵抗の少ない方向に押し出されることを脳ヘルニアという1)(図1).ヘルニアを起こした組織は脳神経,脳幹を圧迫するのみならず,動静脈を圧迫して脳虚血,静脈の鬱滞などの循環障害から脳浮腫をさらに増悪させ,二次的脳幹出血をもひき起こす.臨床的には,進行性の意識障害をはじめ種々の神経症状を呈し,脳腫瘍や急性期脳血管障害の直接死因として最も重要である.そこで脳ヘルニアの発現を早期に診断し,適切な治療方針をたてることが重要である2,3).
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