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代用児症候群
西村 昂三
1
1聖路加国際病院
pp.1344
発行日 1986年12月1日
Published Date 1986/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921584
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小児の死は頻度は低いが,成人の死にはみられないような問題を招来することがある.そのひとつが代用児症候群Replacement child syndromeである.
なんらかの原因で子供を亡くした両親は,次の子供を生むべきか否かについて悩むことが多い.亡くした子供の代わりにすぐにもうひとり子供を生みたくなる両親もあれば,残った同胞に亡くした子供の分まで過度の期待をよせるものも少なくない.同胞もなく,母親の年齢その他の原因で妊娠・出産の期待できない場合には養子を望むものもある.これら亡くした子供の代用とみなされた子供に対する両親の育て方は往々不適切になりがちで,そのためしばしば心理面,情緒面などの障害が発生する.このように死亡した子供の代用にされた子供に発生した精神心理面の障害を総称して代用児症候群と言う.
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