学生の広場
末期患者とのかかわり合いの中で私の得たもの
大江 依子
1
1国立久留米病院附属看護学校
pp.297-299
発行日 1986年3月1日
Published Date 1986/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921353
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私にとって,初めて接した痛みある末期患者N氏とのかかわり合いは,今でも私の心の中にはっきりと思い浮かんできます.今まで自分の中にあった,患者を思いやり何かをしてあげたいという気持ちをもとに,N氏の安楽と精神的援助にかかわっていきました.しかし今,このN氏の看護を振り返ってみると,私の多くのつまずきや不手際な援助で,患者に苦痛を与えることがあったように思います.
私は,患者の全体像をとらえての援助の難しさやその必要性,不手際な処置がもたらす苦痛を,改めて感じることができました.また,患者の痛みを少しでも理解しようと努めてきましたが,病を持つ患者とだけ見てしまうのではなく,健康な時のあった,あらゆる感情もある人として見る必要があったと思います.少なくともN氏は,それを望んでおられたのではないかと思うのです.私は,全体像をとらえ,人間性を考え,最小限の処置の苦痛にとどめ援助していく大切さを学ぶことができたように思います.
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