地域看護の難しさと醍醐味—地域看護を通して看護を考える

はじめに

　訪問看護と言っても，病院治療からの継続でない老人保健法を中心にした訪問は極めて歴史が短く，なかなか的確な情報が得られない．何もかもほとんど手探りであるが，それだけに臨床・教育の場では考えられなかった新たな体験の連続であった．一般論とか理論との比較検討をする余裕を見いだすまでには至っておらず，したがって，これから述べることは私個人の様々な体験と試みの生（なま）の報告である．看護の主体性，独自性が，かえって孤立性にならないようにと四苦八苦した記録でもある．そういう1つの情報を提供したい．