やさしい目で きびしい目で・97
小児眼科の醍醐味
富田 香
1
1平和眼科
pp.33
発行日 2008年1月15日
Published Date 2008/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102107
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小児眼科の草分け的大御所であった故・植村恭夫教授の元で勉強させていただいた。続いて国立小児病院(現国立成育医療センター)へ出張で行かせていただいたこともあって,小児眼科を自分の専門としてきた。
学生の頃は,赤ちゃんのげっぷとともに出てくるおっぱいのヨーグルト臭いにおいも嫌いだったし,子どもが特に好きだったわけではないような記憶があるから不思議。今では,子ども大好き人間になってしまった。開業医になって20年以上が経ったが,子どもの泣き声はちっとも気にならない。むしろ待合室で泣いている子どもがいれば,その泣き声から「お腹がすいているみたい」とか「これはわがまま泣きだな」とか「どこか痛がっているから,急がなくては」など反応も早くなった。もっとも診察室で泣かせてしまうこともたまにはあるので,申し訳ないことである。できるだけ泣かせないように,そして泣かせてしまうときはできるだけ短い時間ですむように精一杯の努力は欠かせない。小さな子でも何かを始める前に,まじめな顔できちんと説明しておくと,泣いても後を引きずらないものである。子どもはびっくりするくらい,いろいろなことがわかっている。その証拠に検査が終わったとたん,晴れ晴れとした笑顔で診察室から出て行ってしまう……。
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