特別対談
人を看るこころ見つめるこころ[1]—看護とルポルタージュを通じて
都留 伸子
,
向井 承子
TSURU NOBUKO
,
MUKAI SHOKO
pp.784-788
発行日 1985年7月1日
Published Date 1985/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921132
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編集室から
人には様々な出会いがある.人との出会い,モノとの出会い,コト(出来事)との出会い,人と本との出会いもそのうちの1つだろう.1つの出会いがまた新たな出会いを呼び,私たちの世界を広げてくれる.本号の特集,そしてこの対談は,ある出会いの縁(えにし)によってつながれている.それは1冊の本との出会いが始まりだった.
新潮社から向井承子著“たたかいはいのち果てる日まで—医師中新井邦夫の愛の実践”が出版されたのは昨年7月のことだ.4年前に発表された“小児病棟の子どもたち”を読んで以来,向井氏の著作活動に注目していた私は,早速“たたかいは……”を本屋で買い求めた.内容は期待通りのものだったが,それ以上に感心したのは,この作品が本という形になるまでに費やされた準備(取材)の周到さについてであった.特に中新井医師の医療実践を理解するために,向井氏が渉猟(しょうりょう)された専門文献はおびただしい数にのぼっていた.わずか数行を書くために,あるいはむしろ,その数行を書くことを断念するために,大変なエネルギーが注ぎ込まれている著作活動の厳しさを垣間見た思いがした.
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