特集 臨床3年目の迷いをどう切り拓くか
院内研修を通してみた臨床3年目看護婦
大田 すみ子
1
1北海道大学医学部付属病院
pp.273-277
発行日 1985年3月1日
Published Date 1985/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661921023
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
卒後3年目になると,一般に日常の仕事には慣れ同僚との関係,先輩や後輩との関係,医師との関係もスムーズに保たれて,患者看護も援助を受けずに行なわれ,初年度に持つ戸惑いやストレス状態もほとんどなく,安定した様子がうかがわれます.それまでの2年間で,所属する看護チームでの看護システムにのり,その病棟に多く入院する患者の年齢に応じた対応や,医師の専門により多い疾病,治療,検査等の理解,看護援助の概要をマスターし,チーム内で貴重な1メンバーとして期待され始めます.
しかし,経験した看護の一場面,一事例をきちんと整理して,その学びを自己の看護体験として積み重ね,理論的な体系化へ向けて努力してきたナースと毎日の看護業務を無意識に行なってきたナースとの間には,かなりの看護者としての差が見受けられます.マスの看護を行ないながらも,患者個々に目を向けて,自己の看護観に根差したルチーン以上の看護的かかわりを努力してきたナースは,自分の不足や未熟さに傷つきながらも充実しており,自立的で,目標をもって歩んでいることがうかがわれます.
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.