老人ホームの訓練室から 極楽寺山通信・3
老人にとっての〈本当の生活〉とは
三好 春樹
1
1特別養護老人ホーム“清鈴園”
pp.813-816
発行日 1984年7月1日
Published Date 1984/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661920828
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ホームでの生活は〈仮の生活〉か?
入院中の患者さんには,患者としての一種の役割のようなものがある.お医者さんや看護婦さんの指示をよく守り,施される治療を受け入れることである.いわば,病気を治してもらうために〈受け身的存在〉であることを引き受ける.病気が治って退院すれば,〈受け身的存在〉である必要はなくなるのだから,これは〈病気〉という特別な一時期に引き受けねばならない役割だということになる.
入院患者のだれもが,病院の中に自分の本当の生活があるとは思っていない.本当の生活は,病気が治って退院した後に,再び始まるのである.そういう希望があるからこそ,受け身的な〈患者〉であることを引き受けている.
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