老人たちのいる風景・9
戦争の爪あと
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1
1老人看護を考える会
pp.1017
発行日 1983年9月1日
Published Date 1983/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919941
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今年も8月6日の広島,9Hの長崎の原爆記念日,15日の終戦記念日がやってきます.戦争がいかに現在の老人の幸せを奪い,生活を破壊したかは,老人の生活史を見てもわかります.
東京のある市の老人調査の戦争犠牲率を見ると,〈男子〉戦災をうけた28.6%,徴用された16.7%,転廃業した16.7%,戦傷病を負った6%.〈男女〉戦災にあった29.8%,疎開させられた30.4%,親族の戦死にあった19.3%と,1人当たり1.23件の犠牲率になっています.空襲で家財を焼かれたり,生命の危険にさらされたり,身体障害者となった人もいます.老後の備えどころではなかったのです.命がけで懸命に生きてきた人たちなのです.
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