学生の広場
周囲に阻害されけむたがられていた患者に接して
安田 貴恵
1
1九州厚生年金看護専門学校
pp.794-796
発行日 1983年7月1日
Published Date 1983/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919892
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はじめに
私の実習したリハ1病棟は,慢性分裂病患者が99%を占める病棟だった.慢性分裂病患者は症状が安定しているため,この病棟では,対症療法よりもリハビリ活動による社会復帰を目的としている.私が初めて病棟へ行った時,患者の症状が安定しているためか,当初イメージしていたものと全く違い,患者は私たちがよく町で見かけるような普通の人びとに見え,どこが病気なのだろうかと感じた.
ここで紹介する患者も,慢性分裂病でいつも独りでじっとしていて自分の中にとじ込もり,ほかの患者からもけむたがられる存在だった.しかし,私の受け持つ数日前から様子が変わり,症状も好転し,私との初めての出会いの時も,患者の方から声をかけてきた.私はなぜかこの患者を好きだと感じた.ここでは,患者が私を受け入れ,かかわりを持とうとしてきた経過について考えてみたいと思う.
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