特別論稿
どうして婦長は大変なのか
大塚 進
pp.801-807
発行日 1983年7月1日
Published Date 1983/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919895
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はじめに
よく,‘婦長は大変だ’と言われる.婦長自身,それを実感として受け止めながら,解消する手段も方法も見当たらないまま,各人各様に手探りの仕事をしている.周りの人たちもまた,そのことを承知しながら,婦長の努力と献身に期待して,現状打開のために手を貸そうとする人はいない.というのが看護現場の現在の実情ではないだろうか.これは,看護の現場を,無気力と混迷に陥れることにもなっているように思う.だが,このことを憂慮する人は少なく,多くの人たちが当然のこととして,見過ごしているところにも問題があるように思う.
ヘレン・M・ドメバンも,著書“看護サービス管理”(日本看護協会出版会,尾田葉子・他訳)の冒頭で,‘看護管理において支配的な特徴は,専制的な体制でもなければ民主的な体制でもない.それは混乱である.残念なことに,この混乱は,主任看護婦のあいまいな立場にはっきりと示されているように現在もなお続いている’と嘆いている.看護の現場が混乱し混迷していることにおいて,看護の先進国アメリカでも同じことがいえるようである.また,それが管理の末端に現れていることにおいても,共通するところがあるといってよいだろう.
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