特集 看護のなかの性
看護における性の理解—アメリカ合衆国での性問題への取り組みを中心に
関戸 好子
1
1日本看護協会看護研修学校
pp.283-290
発行日 1983年3月1日
Published Date 1983/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919807
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看護のなかの性の問題は,洋の東西を問わず難しい問題らしく,長い間にわたって無視され続けてきたと言っても過言ではない.アメリカ合衆国(以下,アメリカと略)でも,最近になってやっと,看護婦の業務拡大に伴う知識の充実と看護領域の再認識,また精神衛生を重視する傾向等と同調して,患者をひとりの人間として総体的にみた場合,その食事や排泄の問題と同様に,性についても適切なインフォメーションが必要であり,それに即した配慮と理解が必要であるということが認識されるようになってきた.そして,そのための努力が,あらゆる方向からなされている.
他方,看護婦の意識の高まりと共に,看護のなかの性の問題は,単に患者の性的問題へ目を向ける必要陸を理解するという従来の領域を超えて,今日では,もっと大きなスケール—例えば,看護婦自身の性に対する考え方や態度,あるいは医療組織のなかの看護婦の地位(職業的意味)などの視点—から討論されることも多い1,2,3).いずれにしろ,看護のなかの性の問題は,今後その重要性を増すことは必至であり,また,その取り扱いについても種々の話題を提供することと思われる.ここでは,アメリカでの性問題の論点とその看護への意味を指摘することによって,我々看護に携わる者が遅かれ早かれ直面するであろう問題や課題の紹介を試みたい.
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