特集 訪問看護を考える
アメリカ合衆国における家庭看護サービス
pp.42-54
発行日 1973年1月10日
Published Date 1973/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662205208
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前年度において,国民健康保険における看護サービスについて,特に保健婦の機能を家庭看護に役だてることを主体として研究計画をすすめた。看護の問題は多様であるが,私どもは現在保健婦が最も身近に当面している長期疾患患者で,かつ国民健康保険の医療給付上の問題にも関連するもので,患者および家族の不幸,不快と同時に,社会的な問題を多く含む脳卒中患者の看護を特に取り上げた。研究の結果予測されることとして,
1.保健婦の看護活動が脳卒中患者の回復を促進し,病日数を減少させる。
2.早期に適切なリハビリテーションを行なうことによって,身体的機能の回復率を高め,むだな医療支出を抑制することができる。
3.看護活動を通して地域内に脳卒中に対する関心を高め,正しい認識を与える機会を作る。
4.家庭看護活動を通して保健婦自身の活動意欲をたかめる。
5.国民健康保険加入者の保険に対する価値観をたかめる。
の諸点を考えた。
前年度石川県,富山県の2地区における脳卒中患者の実態調査の結果の概要を再吟味してみると,
1.発病後経過の長いものが多い。
2.身体的機能になんらかの欠陥をもっている者がほとんどである。
3.高年者が多い。
4.家族が世話をする者があると答えた者が多い。
5.全く世話をする者がいない患者がある。
6.自分のことができると答えた者が多いが,かろうじて身体を動かしている者が含まれている。
7.医師にかかっている者がほとんどで,薬剤を与えられ,寝ているように指示されている。
8.全部の患者が身体的リノ・ビリテーションを受けていない。
という諸点が,今後の保健婦の活動計画に重要な問題を提起している。
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