べツドサイドの看護
末期患者Nさんへの看護を振り返って—死後2年,それぞれの立場から
斎藤 悦子
1
,
向井 百合子
1
,
唐沢 里子
2,3
1諏訪赤十字病院北3病棟
2下伊那赤十字病院看護部
3諏訪赤十字病院北3病棟
pp.175-181
発行日 1983年2月1日
Published Date 1983/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919784
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はじめに
癌末期の患者の身体的・精神的苦痛は,はかり知れないほど大きい.患者は多くの葛藤を胸に,家族や看護者にそれを訴え,時には沈黙する.私たち看護者は,そんな患者の苦痛をできるだけ取り除き,生きる希望を失わせまいと必死で対応する.
Nさんは子宮癌末期の患者であった.痛みがたいへん強く,日に日に注射する鎮痛剤の量が増えてゆき,麻薬,ソセゴンの中毒症状が現れてきた.情動は不安定となり,注射を強く要求し,痛み以外の訴えはしなくなり,うつろな眼をした日々が多くなっていった.
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