心病む人とともに 精神科病棟での日日・2
エスケープ—自由への脱走?
三宅 富貴子
1
1東春病院看護部
pp.196-197
発行日 1983年2月1日
Published Date 1983/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919788
- 有料閲覧
- 文献概要
エスケープという言葉をよく聞く.あまり良い響きではないが,精神科では安易に使われ,またしばしば経験することでもある.鍵のかけられた病棟で自由を制限された生活など,誰にとっても苦痛に遠いない.そこから何とか出たい,出してほしい,それがだめなら無断で出よう……そう考える人がいても不思議はない.治療者も看護者も患者さんの人間として当たり前のその苦痛を,一方で理解しながらも,一方では治療のため,この人の将来のためと,彼らを説得しようとする.しかし納得したようでも,ある時ふとエスケープする患者さんはいる.
Copyright © 1983, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.