特集 時代の鏡としてのうつ病
思春期におけるうつ病患者の看護
熊田 トヨ
1
,
岡崎 晴子
1
,
松井 睦子
2
,
清水 栄子
1
,
高梨 敏子
3
,
鈴木 千恵子
3
1東北労災病院心療内科外来
2東北労災病院心療内科病棟
3宮城中央病院内科病棟
pp.54-60
発行日 1983年1月1日
Published Date 1983/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919758
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はじめに
心療内科に来院する患者層は幅が広い.我々が対象にしている疾患群は,小児の夜尿症から老人性痴呆まできわめて多彩である.ちなみに当心療内科では,1981年3月から1982年7月の1年4か月間に788例の新患を扱っている.このうち,12-19歳までのいわゆる思春期に該当する症例は83例(10.3%)に達している.またこのうちの15例(18.1%)がうつ状態と診断され,思春期心身症の中では比較的頻度が高い.
当科は,心療内科を標榜しているためか,うつ状態の患者すべてが内因性とは限らず,むしろ神経症圏に属する例が多いようである.最近,成人に急増してきた軽症うつ病に匹敵する病態である.ところが,思春期うつ病の場合,必ずしも軽症とはいえない.なぜなら多かれ少なかれ,自己同一性の危機をはらむため,治療は一般に長期化し,患者はもとより,治療者も管理指導上忍耐を強いられるからである.
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