特集 時代の鏡としてのうつ病
うつ状態にある老人の看護
大山 江里子
1
,
五島 シズ
1
1聖マリアンナ医科大学病院精神科病棟
pp.48-52
発行日 1983年1月1日
Published Date 1983/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919757
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はじめに
年をとると人は様々な喪失体験に出会う.例えば,配偶者や親しい人との死別,子供との別居,自分自身や家族の病気,退職や役割からの引退,それに伴う社会との断絶,経済的な不安,またときには環境を変えなければならないときもある.老人がこれらの新しい体験に適応するためには,多くのエネルギーを必要とする.もちろんこれらの体験の受け止め方は,個々人によって異なるが,ときには老人を抑うつ状態にさせる.
ある研究者の調査によれば,60歳以降に発症した群の3/4では発症前に明らかな身体的あるいは心理的要因がみられたが,60歳以前に発症した群では何らかの誘因が認められたものは,約半数であった1).
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