特集 時代の鏡としてのうつ病
身体症状を訴えるうつ状態患者への援助—心療内科の看護の実際から
鬼村 和子
1
,
西之原 フクヨ
1
1九州大学医学部付属病院心療内科
pp.37-41
発行日 1983年1月1日
Published Date 1983/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919755
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はじめに
近年,さまざまな身体症状を呈して,臨床各科を訪れるうつ病患者の存在が注目され,増加の傾向にあるといわれている.
これらの患者たちは,うつ状態としての精神症状(興味と意欲の減退,思考力の減退,取り越し苦労など)を持ちながら,これを訴えることは少なく,睡眠障害,食欲不振,胃腸障害,心悸亢進,全身倦怠感,頭重感などの身体症状を訴え,医師を訪れることが多い.そして,これらの患者は,身体的な諸検査で異常所見が認められないのが普通である.しかし,諸検査の結果,異常ないと言われても,現に身体症状は持続しているので,患者は苦痛である.
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