ベッドサイドの看護
うつ状態を呈した患者の看護
山本 和江
1
1広島大学医学部付属病院神経精神科病棟
pp.449-453
発行日 1973年4月1日
Published Date 1973/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916617
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.人生に挫折した老人への援助
人生のすべてを仕事にかけ,そのなかで生きがいをみつめてきた人にとって,挫折ということが考えられた日があるだろうか.より大きな成果の足跡を残した人生であってみれば,些細なつまづきさえも認めにくいものではないだろうか.
私たちは,日常,患者との接触のなかで,そのつまづきに足をとられ,苦悩している人びとを見る.そして,おそらくは,そのつまづきを認めたうえで生きなければならない人に,何をどのように援助できるかを考えることも多い。抑うつ状態を呈し,洗面にさえ努力を要したひとりの患者が,自己の問題は残しながらも,仕事に帰って行ったあとをたどって,その考えを追ってみたい.
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.