特集 終末期患者の訪問看護
重篤な状態で退院した脳梗塞患者の訪問看護
佐藤 加代子
1
1ゆたか病院訪問看護係
pp.759-762
発行日 1982年7月1日
Published Date 1982/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919600
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はじめに
当院は,東京の南部に位置し,戦後作られたアパート群が中心となっている住宅街の一角にある20床の小病院である,1974年より訪問看護を開始.1976年から看護婦1名による専任体制を取り,月約50件前後の訪問看護を実施している.訪問対象者は,慢性固定化した,寝たきり老人や障害者が中心であるが,手術後の脳神経疾患患者,大学病院等より地域へ戻って来た癌末期の患者もいる.老人患者は,畳の上で最期をと望む者も多く,そういう希望がある場合,本人や家族の意向をよく聞いた上で,専任体制を取り,終末期看護を行うようにしている.
本事例は,重篤な状態で入院中の病院から地域へ帰って来た患者に往診・訪問看護により,入院に近い医療・看護援助を行い得た例である.家族とともに地域に住み,近所の人との交流を保ちながらより人間らしい生き方ができたのではないかと思われた.在宅で看取ることができたため,家族も大きな満足を得たようである.このケースを通し,在宅でのターミナルケアについて考察したので報告する.
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