Japanese
English
研究と報告
重篤な眼球自傷行為の1症例
A Case of Self-enucleation
大蔵 雅夫
1
,
苅舎 健治
1
,
江川 晶子
2
,
石元 康仁
1
,
山口 浩資
1
,
川端 茂雄
2
,
仁木 繁
2
,
生田 琢巳
1
Masao OKURA
1
,
Kenji KARISHA
1
,
Shoko EGAWA
2
,
Yasuhito ISHIMOTO
1
,
Hiroshi YAMAGUCHI
1
,
Shigeo KAWABATA
2
,
Shigeru NIKI
2
,
Takumi IKUTA
1
1徳島大学医学部神経精神医学教室
2南海病院
1Department of Neuropsychiatry, Faculty of Medicine, The University of Tokushima
2Nankai Hospital
キーワード:
Self-enucleation
,
Self-mutilation
,
Oedipism
,
Religion
,
Schizophrenia
Keyword:
Self-enucleation
,
Self-mutilation
,
Oedipism
,
Religion
,
Schizophrenia
pp.623-626
発行日 1993年6月15日
Published Date 1993/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903462
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【抄録】 症例は37歳の女性で,22歳時,精神分裂病を発症して以来,数カ所の精神科病院へ入退院を繰り返している。その間,幻覚,妄想,拒絶症,自傷行為など多彩な精神症状が認められ,保護室に収容されていたが,自らの手で自分の左眼球をえぐり,眼筋断裂,眼球脱出を来し,左眼球摘出術を受けた。眼球摘出のような自己の器官を取り去るすさまじい自傷行為は,なかでも精神分裂病に多いとされている。本症例の眼球自傷の動機として,作為体験または幻聴の支配が推定されたが,MacleanとRobertsonが自己眼球摘出の症例に比較的共通にみられると指摘する精神力動的要因は見い出せなかった。また,本邦においてこのような眼球自傷行為の報告が欧米に比較して少ない要因を文化,特に宗教の相違と,信仰率の相違によるものと考察した。
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