LIFE SCIENCE 生命科学のトピックス・3
遺伝子は動く
本庶 佑
1
1大阪大学医学部
pp.610-611
発行日 1982年6月1日
Published Date 1982/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919566
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遺伝子は個体の一生の間に構造が変わることが明らかになってきた
‘カエルの子はカエル’とか,‘ナスの枝にウリはならぬ’とかいう言葉に象徴されるように,遺伝あるいは遺伝子は,親から受け継いだら一生変わらないもの,というふうに考えられてきた.確かに,多くの遺伝現象は宿命的なものであり,自己の意志によって,これを自由に変革することは不可能に近い事柄である.
ところが,遺伝子そのものについてみると,個人の一生の間で,遺伝子の構造が変わるということが最近明らかになってきた.これは,遺伝子工学によって高等動物の遺伝子が分離され,その構造を解析する方法が,近年,急速に進歩した結果によるものである.
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