看護に生かす交流分析・9
心理的ゲームの分析[1]
白井 幸子
1
1国立療養所多磨全生園
pp.221-224
発行日 1982年2月1日
Published Date 1982/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661919480
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時間の構造化
先月号で,‘時間の構造化’という人間だれもが持つ根源的な願いについて記したが,死に直面して,自分の願いどおりに自分の人生を意義あるものにできたと言いうる人は,極めて少ないと思われる.こうもしたかった,ああもしたかったとの思いに支配されるのが人間の常であり,この意味で‘時間の構造化’は,しばしば人間の悲願であるかもしれない.
今回は,極限的な状況にありながら,なおも自分の人生を有意義にすべく,必死の努力を続けている全生園の患者,伊郷芳紀さん(仮名,70歳,写真)が,‘らい’と宣告されてから今日までどのように生きたか,彼の時間の構造化の方法を紹介し,さらに心理的ゲームの分析の項にすすみたい.
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